第3部:男性不妊も「ふたりごと」。芸能人の体験談から学ぶ原因・治療と夫婦の絆

はじめに|不妊治療は、女性だけが辛いと思っていた

正直、私はずっとこう思っていました。

「不妊治療で一番辛いのは女性」
「男性(パートナー)は、辛さを十分に理解できていないことが多い」

通院、自己注射、採卵、ホルモン治療。
体も心も削られながら治療を続けるのは女性。

だからこそ、
「もっと男性に寄り添ってほしい」
「なぜ分かってくれないんだろう」
そんな気持ちを抱く女性の声に、強く共感してきました。

でも、男性不妊について知り、無知だったことに反省しました。

きっかけは芸能人体験談を調べていた際、
おばたのお兄さんや仁科克基さんの「男性不妊」を知ったこと。

  • 知ったあとの苦しみ、葛藤、妻への申し訳なさ
  • 精液検査で突然「自分が原因だった」と知った瞬間の衝撃

私は、不妊治療の身体面・肉体面の辛さがあると共感したと同時に、
無知だったことを反省しました。

不妊治療をしている友人で、パートナーが理由という話を聞いたことはありませんでした。

自分のことは話せても、パートナーのことは相談しづらい。

また、女性よりも男性は相談しづらく、一人で抱えて悩んでいるかもしれない。

そう思い、「男性不妊」で悩んでいる方々の参考になる情報を届けたいと思い、

第3部として、
男性不妊の基礎知識から、芸能人の体験談、そして夫婦でどう乗り越えるかについてまとめました。

不妊治療で、パートナーとの関係に悩んでいる方や、検査を迷っている男性に届くことを願っています。

目次

男性不妊はなぜ発覚が遅れる?「妻任せ」が生むリスク

「まずは女性が産婦人科へ」という流れが一般的なため、男性側の検査は後回しになりがちです。

  • 自己流の妊活を長く続けてしまう
  • 妻だけが婦人科を受診
  • 「自分は大丈夫」という根拠のない自信
  • 人工授精や体外受精へのステップアップ時にようやく判明する

このように、時間が経過してから「原因は男性側だった」と判明するケースが少なくありません。

準備も心構えもないまま突きつけられる現実。
男性はこの言葉を一気に抱え込むことになってしまいます。

実は不妊原因の約半数。男性不妊の原因と治療法

「不妊は女性の問題」と思われがちですが、

WHO(世界保健機関)の調査では、
不妊の原因の約半数(48%)は男性側、または男女両方にあることがわかっています 。

男性不妊の主な3つの原因

  1. 造精機能障害(約80%):精子を作る機能自体に問題がある状態。中でも「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」は男性不妊の約40%に見られる原因で、手術による改善が期待できます。
  2. 精路通過障害: 精子は作られているのに、通り道(精管)が詰まっていて出てこられない状態。「無精子症」の一つである「閉塞性無精子症」など 。
    →俳優の仁科克基さんが公表していて、手術をして体外受精で子どもを授かっています。
  3. 性機能障害 ED(勃起不全)や射精障害などにより、膣内での射精が困難な状態 。

どんな検査・治療をするの?

検査: まずは「精液検査」で濃度、運動率、形態を調べます。

治療: 生活習慣の改善、サプリメント、手術(精索静脈瘤や精子採取術:Micro-TESE)、そして顕微授精などの生殖補助医療があります。

「自分が原因だった」と知った男性が抱える苦しさ

男性不妊の体験談で共通しているのは「痛切な感情」

  • 「男としての価値」を否定されたような感覚
  • 妻に申し訳ないという強烈な罪悪感
  • 将来への不安
  • 誰(男同士でも)にも弱音を吐けない孤独

不妊治療が一般的になってきていても、男性コミュニティではまだ話題にしにくい空気があります。

また、女性側の辛さを知ったからこそ、「自分が辛い」と言えなくなってしまう男性も多いのです。

  • 自分が原因なのに、痛い思いをしているのは妻
  • 妻の方が辛いのだから、自分が弱音を吐いてはいけない
  • 自分は何もできていない

そうやって感情を押し殺し、苦しんでいる男性がいることを、
私はそれまで想像できていませんでした。

【体験談】男性芸能人等が語る「不妊治療と向き合った日々」

著名人の勇気ある告白は、多くの当事者の心の支えになっています。

おばたのお兄さんの場合:体調による精子の変化

ばたのお兄さん「初めて話す不妊治療」

「アスリート芸人」として健康的なイメージのある彼も、初めての精液検査で「精子の数が少なく元気もない」という結果に驚いたそうです。
実はその時、風邪による発熱や激しい運動ロケで体が疲弊していたことが原因でした。

生活習慣を見直し再検査で改善し、体調管理の重要性を発信しています。

おばたのお兄さんが実践した改善法:

  • 脂っこい食事を控える
  • 十分な睡眠をとる
  • ストレスを溜めない
  • 検査前は過度な運動を控える
  • サウナを控える 等

彼は男性が検査を受けたがらない理由について、こう語ります。

男はプライドの生き物ですから、自分の至らないところを突きつけられたくないんです。『精子の数が少ない』って男性のシンボルを折られるような感覚になるから、受け入れたくない男性が多いんだと思います

仁科克基さんの場合:閉塞性無精子症からの奇跡

俳優の仁科克基さんは、30代前半で「精液中に精子がいない」という衝撃の事実を知りました 。
当時は再婚の予定はなかったものの、「いつか」のために精子凍結をしようとして発覚したそうです。

「閉塞性無精子症」と診断され、精子を取り出すには睾丸を切開する手術(Micro-TESE)が必要だと知りますが、恐怖心からなかなか決断できませんでした 。

転機となったのは現在の奥様との出会い

全てを打ち明けた仁科さんに、彼女は「精子がいなくてもかまわない。でも手術は受けてみたほうがいいと思う。怖いし痛いと思うけれど、やってみようよ」と背中を押してくれたそうです 。

局所麻酔での手術の結果、無事に精子が見つかり凍結に成功。
その後、顕微授精を経て、2024年11月にお子さんが誕生しました 。

彼は妻への感謝をこう語ります。

僕が原因であるにも関わらず、何度も通院し、自己注射をし、全身麻酔での採卵手術を受けて頑張ったのは妻。そして、命をかけて愛する息子を産んでくれたのも妻。
妻への感謝とリスペクトは、一生忘れてはいけない

ダイアモンド☆ユカイさんの場合:「精子ゼロ」の衝撃

ダイアモンド✡ユカイさんも、「無精子症」を公表した一人です。

妻の検査に付き添った際、ついでに受けた検査で「精子、ゼロです」と告げられました 。
「男を否定されたような感じ」で頭が真っ白になり、妻が泣いている姿だけを覚えていたといいます。

その後、不妊治療は「出口の見えないトンネル」のようで、一度は諦め、夫婦で人生を楽しもうと切り替えた時期もあったそうです 。

最終的にセカンドオピニオンを経てお子さんを授かりましたが、その経験から「男性も早めの検査を」と強く呼びかけています。

ぺ子の妊活まんが(SNS・ブログ)「原因は、俺…?」

実体験に基づいた漫画です。

2年間の不妊治療の末に夫側に原因があると判明した際の苦悩、夫婦の絆について描かれており、Yahoo!ニュースなどでも注目されました。

男性・女性目線で「無精子症」と診断されたときのリアルな心情や行動が描写されていて、
「もし、子どもができなかったらパートナーに申し訳ない…。」と不妊治療に励んでいた自分と重ね、
両方の気持ちに共感しながら読むことができました。オススメです。

無精子症の手術と葛藤がリアルに伝わってくる

「無精子症」と診断された夫婦の手術と、それでも上手く行かなかった辛さが映し出されています。

心のすれ違いを防ぐ。夫の気持ち、妻の気持ち

男性不妊が発覚したとき、夫婦の間には複雑な感情が渦巻きます。

夫の気持ち:喪失感と罪悪感

  • アイデンティティの崩壊: 「男として価値がない」という烙印を押されたようで、自信を喪失、屈辱感や自己否定に陥ることがあります。
  • 妻への強い罪悪感: 「自分のせいで妻が痛い思いをして検査や注射をしている」「彼女の時間を奪ってしまった」と自分を責めたという体験談が複数ありました。
  • 逃避: 現実を受け入れられず、「仕事が忙しい」と治療から目を背けたり、逆に「離婚しよう」と自ら身を引こうとするケースもあります 。

妻の気持ち:混乱と怒り、そして受容

原因が夫にあっても、治療の実務的な負担(通院、自己注射、薬の副作用)の多くを担うのは女性です。

  • 戸惑い:「なんて声をかければいいのか。。。」夫を思う気持ちと、どうすればいいのか迷ってしまうようです。
  • 驚きと安堵: 「原因は私じゃなかったんだ」と安堵と同時に、これまでの努力は何だったのかという徒労感を感じることがあるそうです。
  • 夫への不満: 落ち込む夫を励まさなければならない負担や、なかなか治療に前向きになってくれない夫に対して「私がこんなに頑張っているのに」とイライラが募ることも 。
    また、「なぜ私ばかりが我慢し、頑張らなければならないのか」という不公平感や怒りを感じ、時には離婚の文字が頭をよぎることもあります。
  • 覚悟: ショックを受けつつも、「二人で生きていくか、治療をするか」と現実的に切り替える強さを持つ女性もいます。

男性不妊になったことで命の尊さをより強く感じることも

男性不妊という困難を乗り越える過程で、多くの夫婦が「以前より絆が深まった」と感じています。

  • 「自分ごと」としての妊活: 原因が自分にあると分かることで、男性は妊活を「妻の手伝い」ではなく「自分の問題」として捉えるようになります。
  • 女性へのリスペクトと感謝: 採卵や注射など、女性側の負担がいかに大きいかを肌で感じ、「命がけで産んでくれる妻への感謝とリスペクト」が生まれます。仁科さんも「一生忘れてはいけない」と語っています 。
  • 最強のチームワーク: 辛い治療を二人三脚で乗り越えることで、戦友のような強い信頼関係が築かれます。
    夜泣きの対応をシフト制にするなど、治療で培った協力体制がその後の育児にも活きるという声もあります 。

女性の大変さを深く理解できる

男性不妊の治療を経験することで、男性は女性が不妊治療でどれほど大変な思いをしているかを身をもって理解できます。

おばたのお兄さんは、妊活を振り返ってこう語ります。

妊活をしたことで2人の仲がより深まったような気がします。僕自身、『妻が精神的にいい状態でいられるためにはどうしたらいいだろう』と考えられるようになり、結果的には妻だけじゃなくて他の人への配慮もできるようになった。1人の男性として、人間として、少し成長できた時間だったと思います

命の尊さ、感謝、絆の深まり

男性不妊を乗り越えて出産した夫婦の体験談には、命の有難み、女性への感謝、夫婦の絆の深まりが共通して語られています。

仁科克基さんは、息子が生まれた瞬間をこう振り返ります。

「目の前で赤ちゃんがへその緒を切られて、”オギャアー”と泣き始めた瞬間、自然と涙が頬を伝いました」

夫婦のコミュニケーションの取り方

治療を続ける上で最も大切なのは、夫婦間のコミュニケーションです。

「出口の見えないトンネル」を歩み続けるには、工夫が必要です。

1. 話し合う時間を「予約」する

まず互いに「察して」は禁物。お互いの気持ちを言葉にすることで、理解が深まります。

毎週土曜日の夜など、妊活の話をする時間を限定し、それ以外の時間は不妊治療を忘れてリフレッシュ(旅行や趣味)するメリハリをもつとストレスの緩和にもなると思います。

2. 否定せず、まず受け止める

パートナーが感情を吐露したとき、すぐに否定したり、解決策を提示したりせず、まずは受け止めることが大切です。

「そうだったんだね」「辛かったね」と共感を示すだけで、相手は安心します。
また、「ごめん」と言わせる関係ではなく、「二人でどうするか」を話す関係を目指しましょう。

3. 「ありがとう」を忘れない

不妊治療に限らず、夫婦円満の鍵はお互いに感謝する気持ちを忘れず、できれば言葉に出して「ありがとう」を言えることです。

仁科克基さんも、妻から「最近は感謝の言葉が減ってきている」と指摘されたことを明かしています。思っているだけでなく、言葉にすることが重要です。

4. 夫は「マネージャー」、妻は「選手」

おばたのお兄さんは、自分を「マネージャー」、妻を「選手」に例えています。

「妻が常に最善のプレーができるようにサポートすることが夫の役目」

具体的には:

  • クリニックからの帰宅後、話を聞く
  • 通院に同行する
  • 家事を積極的に分担する
  • 精神的なサポートを惜しまない

5. 第三者の力を借りる

夫婦だけで話し合うのが難しい場合は、カウンセラーなど専門的な立場の人の力を借りることも有効です。

夫ができること・妻ができること(リラックス方法)

  • 生活習慣の改善: 禁煙、深酒を控える、ブリーフよりトランクスを選ぶ(通気性)、長風呂やサウナを控える(熱に弱いため)など、精子の質を上げるためにできることはたくさんあります 。これを「二人で一緒にやる」ことが連帯感を生みます。
  • 治療以外の時間を持つ: 妊活の話ばかりだと息が詰まります。デートや趣味の時間など、意識的に「治療を忘れる時間」を作りましょう 。

男性の不妊だった場合の「選択」と「未来」

検査の結果、男性不妊だとわかった場合、夫婦にはいくつかの選択肢が生まれます。

1. 治療・手術を受ける

精索静脈瘤の手術や、無精子症に対するTESEなど、医療の力で改善・採取を目指します。現在は多くの手術が保険適用や助成金の対象となり、以前より経済的負担は軽減されています

手術をしても100%精子が見つかるわけではありませんが、「やりきった」という事実はその後の夫婦の人生にとって大きな意味を持つと思います。

2. 治療を諦める(二人で生きる)

治療の身体的・精神的・金銭的負担を考え、あるいは手術の結果を受けて、「子供のいない人生」を選択する夫婦もいます。それは決して「負け」ではなく、二人の幸せの形の一つです

夫婦で十分に話し合い、お互いが納得できる結論を出すことが重要です。

3. 特別養子縁組・里親

血の繋がりにこだわらず、親を必要としている子供を家族として迎える選択です。「血のつながりより大切なものがあると気づいた」「子供が私たちを選んでくれた」と感じる家族もいます

4. 第三者からの精子提供(AID)

治療を尽くしても精子が見つからない場合、第三者からの提供(AID)という選択肢もあります。これは非常にデリケートな決断です。

SNS等の個人間取引のリスク: 感染症やトラブルの危険性が極めて高いため、まずは専門医療機関を通して検討することをオススメします。

法的・倫理的な課題: 子どもの「出自を知る権利」やドナー不足の問題。

心理的な葛藤:夫が子どもを受け入れられるか

AIDを選択した人で、「産んだ後、ちゃんと自分の子として育てていけるか悩んだ」(男性)、
「もし、産んだ後に、旦那がやっぱり無理…となった場合も一人でも育てる覚悟をしていた」(女性)

と話した夫婦もいました。

第三者提供を選ぶ場合、夫婦間での深い合意形成と、将来子供にどう伝えるか(告知)という大きな課題に向き合う覚悟が必要です 。

AIDの参考になると思った動画

男性不妊の予防法─今日からできること

生活習慣の改善

日本メンズヘルス医学会が推奨する予防法:日本メンズヘルス医学会

  1. 適度な運動:ウォーキングなどの軽めの運動(メタボ対策)
  2. バランスの取れた食事:亜鉛(牡蠣、ピーナッツ)、ビタミンC・E(抗酸化物質)
  3. 規則正しい睡眠:1日7時間程度、決まった時間に就寝・起床
  4. 精巣を温めない:長風呂、長時間のサウナを避ける。自転車・バイクに長時間乗らない
  5. 禁煙・節酒:タバコと飲酒は精子を作る力を落とす
  6. ストレス管理:精神的な余裕を持つ

ブライダルチェックのすすめ

結婚前・妊活前に精液検査を受けることをおすすめします。

ブライダルチェックを受けた男性の約10%で精液所見に問題があり、1〜2%で無精子症が発見されています。

早期発見により、適切な対策を講じることができます。

まとめ|妊活は「ふたりごと」

不妊カップルの約半数で、男性側に原因があるというデータが示すように、多くの男性が同じ悩みを抱えています。

大切なのは:

  1. 早期に検査を受けること
  2. 夫婦で情報を共有し、話し合うこと
  3. お互いに感謝し、支え合うこと
  4. 専門家の力を借りること
  5. プライドより、パートナーを第一に考えること

治療は大変で、妊娠確率も決して高くありません。

だけど、二人で乗り越えようと治療した夫婦、そこから出産した夫婦の体験談には、女性の不妊治療の辛さを知り、より命の有難み、女性の努力、感謝につながり、絆が深まるという共通点があります。

おばたのお兄さんは、不妊治療を始める男性にエールを送っています。

「きれいごとじゃなくて、とにかく妻を第一に考えること!それが2人にとっていちばんいい結果につながります。そして、妊活は夫婦の”ふたりごと”。2人を代表して妻がいろいろな治療をやってくれる、妻のほうが自分の何十倍も大変な思いをするということが理解できれば、妻に対してもっとやさしくなれると思います」

一緒に生きようとしているから不妊治療をしていると思います。

横並びで二人でよく話し合って、人生の選択をしていけたらなと思います。

おわりに|男性不妊を調べて発信した思い

男性不妊について知る前の私は、
きっと多くの男性の苦しさを見落としていました。

でも、「知らなかった」からこそ、
伝えたいと思えています。

この文章が、
誰かが少しだけ心を軽くするきっかけになれば、
それ以上に嬉しいことはありません。

この記事を書くきっかけになったのは芸能人の体験談です。
女性向けに書いた体験談(第一部)と男性に知ってほしい気持ちで書いた体験談(第二部)があるので
よかったら読んでみてください。

参考文献・引用元

この記事があなたの不安を少しでも和らげ、前に進む勇気になれば幸いです

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